気になる口臭を止めるには

自分の口の臭いが気になって、他人の近くで話せない。そんな不安をもつ人が意外に多くいらっしゃいます。ある調査によると3割の方々が「口臭が気になる」と回答しています。しかし、朝起きたばかりや、口の中が乾いているときなど、多少の口臭は誰にでもあるもの。現代人は、自分の口臭を心配しすぎる傾向にある様です。

健康な人の呼気(吐いた息)に含まれる気体を分析してみるとおよそ100種類以上の成分が検出されてきます。主な成分はアセトン、イソプレン、アセトニトリル、エタノールなどでいずれも程度の差こそあれ臭いのある成分です。これらは血液中に含まれていて肺でのガス交換のときに出てくるものでこれらを「生理的口臭」といいます。つまり、生きている人間の呼気には臭いがあって当然といえるでしょう。

一方、(生理的ではない)本当の意味での口臭(口気悪臭)にはどのようなものがあるのでしょうか?

口臭の原因を分類してみるとまず、(1)口腔(お口の中)に原因があるものと(2)それ以外に原因があるものとに分類できます。

(2)のそれ以外のものとは糖尿病や肝疾患、腎疾患などの代謝性疾患にともなって血液中に含まれるその疾患特有の有臭成分が呼気から排出される場合、慢性胃拡張症、胃酸分泌障害などの消化器系疾患のためげっぷのようなにおいが上がってくる場合、気管支炎や肺化膿症などの呼吸器系疾患などでもにおいがでることがあります。また食事で食べたニンニクやネギ、服用したビタミン剤等お薬などの成分が同じく血液を通じ呼気から排出される場合、また、副鼻腔炎(いわゆる蓄膿症)や扁桃炎などの膿に由来する口臭が考えられます。

しかし、口臭が気になるとのことで歯科医院を訪れる患者さんの大部分はやはり(1)のお口の中に原因があることがほとんどです。

それではこの場合の口臭の原因物質は何なのでしょうか?

その主役は揮発性硫化物(VSC)という種類の物質でその分子量によって硫化水素など鼻に付くような硫黄臭のするものから腐敗臭のするものまで様々です。中でもメチルメルカプタンという物質は強烈な腐敗臭を示します。

お口の中の粘膜上皮は様々な刺激に耐えうるように丈夫なタンパク質で作られています。このタンパク質には含硫アミノ酸という物質が多く含まれており硬タンパクといわれています。お口の中の粘膜上皮の寿命はおよそ1週間で古くなった上皮の細胞は次々とちょうど頭皮の「フケ」のように脱落していきます。

この際、お口の中にある種の細菌が多く存在する場合、これらの細菌のもっている酵素が脱落した細胞を分解し、その際にVCSやアミン(スルメのような臭いを発生)などの悪臭成分が発生します。

それでは実際にお口の中のどのような部分で口臭が発生しているのでしょうか?具体的な例を挙げてみましょう。

1.舌苔(ぜったい)
舌の表面に付いた白色から褐色の汚れが舌苔です。この中には多くの細菌と脱落した上皮が含まれ口臭の発生源となっていることがあります。
2.歯周病
口臭発生の最有力候補です。歯周ポケットの中では上皮細胞の分解だけでなく膿による悪臭も加算されます。また、ガスの貯留量も多いことから歯周病は口臭の悪化をもたらします。
3.むし歯
むし歯によって作られた穴の中には食べ物のカスなどが溜まりこの腐敗が悪臭を生みます。また歯の神経の部分が腐ったり膿をもっている場合も強烈な悪臭を発生することがあります。
4.プラーク(歯垢)
歯の表面や歯と歯の間、歯と詰め物の境目などに磨き残しのプラークがあるとその中で発生したVCSなどが口臭の発生源となります。
5.ドライマウス(口腔乾燥症)
薬の副作用、糖尿病、腎臓病、ストレス、加齢変化など様々な原因によって唾液の流出量がへってお口の中が乾きやすかったりネバネバしてくる状態をドライマウスといいます。ドライマウスが直接口臭を発生することはありませんが口臭を増悪する因子となります。

それでは口臭を感じたらどのようにすればよいのでしょうか?

お口の中の原因が疑われる時はまず、まず歯科医院に行って口臭がどの程度であるのか、歯周病やむし歯が原因ではないか検査し必要に応じて治療や指導を受けてください。

また、普段のケアーとしては歯ブラシやデンタルフロス、歯間ブラシなどを使ってお口の中の清掃を十分に行ってください。舌苔については専用の舌ブラシやガーゼ、柔らかなタオルなどで舌の表面をやさしくこすって取り除くと効果的です。

そのほかリステリンやモンダミンなどの殺菌剤入りの口腔清浄剤の使用、クロロフィル入りのシュガーレスガムをかむ、お茶でうがいをするなども効果が期待できます。

いずれにしても気になる口臭を防止するためには客観的にどの程度の口臭があるのか、その原因は何であるのかを突き止めることが重要です。ぜひかかりつけの歯科医院にご相談ください。