活性酸素増加の第1の原因はタバコ

人好きの私のところには色々な方がやって来ます。

Yさん(58歳)は同郷の出自、早く父親を亡くして中学卒業後上京し、昼夜を分かたぬ努力で今は従業員約50名を抱える小企業のボスです。何一つ不自由のない彼の悩みはヘビー・スモーカーであることで、飛行機にも乗れないとこぼしています。

その彼がやって来て「先生、活性酸素って何だい?」と訊ねます。話を聞くと友人からお前みたいなヘビー・スモーカーは活性酸素が増えて早死にするぞと脅かされたとのこと、その友達も生半可な知識で良く解らないからと私の所にやって来たようです。

話はちょっと難しくなるがと念を押しての問答を以下に紹介します。

「人間に限らず、動物は呼吸しないと生きられない。吸う息にある酸素は気道の最先端の肺胞で赤血球のヘモグロビンとくっついて身体中を回り、新陳代謝で出た炭酸ガスと交換されて肺に戻り、吐く息で外に出されてまた吸う息で酸素を取り入れて生きているんだ」
Y
「そんなことくらい解ってるよ。活性酸素ってのが知りてーんでね」
「解った、解った。身体の中に入った酸素の2~4%は非常に不安定なフリー・ラジカル、あるいは活性酸素という乱暴者の形で存在するんだね。だがこの乱暴者も人が生きていく上では必要欠くべからざるものなんだ。オキシフルって以前に消毒に使ってたね。
あれは活性酸素の水溶液で強い殺菌力がある。微量の活性酸素が体内に存在しているから人間は徴菌に侵されにくいんだが、増えてくると諸々の障害の原因になる。そもそも活性酸素は細胞の原形質内にあるミトコンドリアという小器官で作られる。ミトコンドリアの役目は細胞のエネルギー産生だが、その過程でできちゃうんだね。次々にできる活性酸素は炭素と結合して炭酸ガスとして吐き出されるんだが、普通の酸素と違って他の物質と反応しやすいのが特徴。そのため体内に必要以上あると蛋白質や脂質が酸化されて身体の老化を促進させる他、細胞核内の遺伝子を傷つけてガンを発生させたり、細胞核の膜を傷め易いから、血管では動脈壁にLDもコレステロールが沈着して、心臓では心筋梗塞、脳では脳梗塞を起こし易いんだね」
Y
「病気の話しは素人には難しいわ。煙草と活性酸素がどうして関係するんです?」
「実感的結果と臨床統計からだね。活性酸素を増やす原因の第一が煙草、それも伏流煙を含めてだ。その他、ストレス、食品添加物、過度の飲酒、車や工場の廃棄ガス、紫外線等数多くあるが、ほとんどが近代生活環境の産物である。さらにこれを防ぐのはポリフェノール、カロテノイド、ビタミンC・Eなどの抗酸化物であるが、これらもまたサプリメントや健康食品などの近代生活環境の産物で花盛りだね」

(日歯広報平成17年7月5日号「健康ひとり言」より)